「なるほど……これがホイミか」
「基本的にどの魔法もやることは同じだよ。魔法陣を描く。術者の掌を魔法陣に添えて詠唱文句を告げる。するとその文句が鍵になって、術者の魔力と魔法の術式とが呼応し始めて魔法が発動する。魔法陣は、こうやって紙に描いて用意しておいても、指先で宙に描き出してもどっちでもいいけど宙に描き出す方が難しいから緊急手段っていうか……でも羊皮紙を持ち歩かなくていいし身軽だから、熟練者は大抵こっちだね。ちなみに一旦発動した魔法は無理やり止めると危険だ、暴発する恐れがあるよ。……ま、ホイミやキアリー程度なら大したことないだろうけど。……各魔法の違いは魔法陣の図柄と詠唱文句。この2つを覚えて、ソラで使えるようになってはじめて"その魔法を会得した"って言える」
「魔力、ね」

 なんとなくどっちらけな表情になったリークに、ぼくは首を傾げてみせた。
「そりゃ魔力がなきゃ、いくら魔法を覚えてたって発動出来ないよ、相応のエネルギーってのが必要だし。ぼくだって魔力を使いすぎて枯渇したりしたら、回復するまで魔法は使えない」
「結局はそれがないと魔法の使い方をいくら覚えても何にもならない……ということか」

 大きくため息を洩らすリーク。
 ……魔法が使えない人はもちろん世の中にたくさんいて、はっきりいって魔力を持っているかどうか、っていうのは生まれつきの才能の問題だ。
 こればかりは努力して得られるものじゃない、だから魔力を扱える人間は重きを置かれる。

 逆に言えば魔法を使えない人間の方が世の中には多いってこと。
 魔法を使える人とそうでない人が結婚したり、……それとか、魔力を持った魔物と結婚したりだとか……。
 そうするとその子供は魔力を持つことが出来る。
 世の中にはそうでない人の割合も多いわけで、だから魔力を持たないことにコンプレックスを持つ必要もないはずだった。

 そこまで考えて不思議なことに気づいた。
 リークの父様はロトの血筋だ、つまり魔力を代々持っている。
 ……で、その息子である彼にも当然魔力は受け継がれているわけで……。

 そうか、とリークが魔法が使えないことに落ち込む理由がわかった。
 持っているはずのものを持っていない……。
 つまり、ひょっとしてもしかして。
 彼はロトの血筋ではないかも知れない……。

次へ



□モドル□


Presented by 小説X ver1.1,