賑やかな街だ、ローレシアの城内街とは活気が違う。
 ここはなんという街だったか……そうだ、確かリリザと言った。
 道具屋に寄って毒消しに良く効くという薬草を買う。 
 それを傷口にあてがうと、痛みが引いていくのを感じた。
 これでどうにか動き回れそうだ。
 夜が肌寒かったことを思い出しながら薄手の毛布も共に購入した。
 ついでに貯まった金で武器の新調でもしておこうか、と思い武具屋を覗く。

 中で一番価格の高い「鎖鎌」を手に入れると、自前の剣を売りはらおうか少々思案した。
 ……まだ、しばらく持っていようか。
 父に新しい武器の調達を断ったのは出来るだけ負担をかけたくないという理由もあったのだが、「使い慣れている方がいい」という理由もまた真だった。 試しに鎖鎌を利用してみたものの、上手く扱えなかったとしたら命取りだ。
 元々持っていた銅の剣もしばらく携えることにした。
 荷物が増えるが仕方がない。

 さて体制が整ったと、再び泉を目指そうと思った。
 が……。
 今日は、なんだかやけに疲れた……さきほどの毒の影響で体力を奪われたのだろうか。
 少し休んでしっかり回復してから出かけよう、道中で倒れてしまっては元も子もない。

 宿にやってくると、カウンターの女将に声をかける。
「一人です。部屋は空いていますか?」
「はいよー。前金で6ゴールドね。おーいあんた、お一人様ご案内!」

 きっぷのいい女将だ。
 支払いを済ませ、ほどなくしてやってきたガタイの良い男が僕を部屋に案内する。
 質素な部屋に案内されると、男にチップを渡して僕はベッドに寝転がった。
 城での生活に慣れているとベッドはどうにも硬いがそれと比較しても仕方がない。野宿よりははるかにましだ。
 うとうととしはじると、やがて僕は深い眠りに落ちて行った。

 翌朝。
 一番鶏の声に起こされ、そして僕は愕然とした。
 昨日街に辿りつき、眠り始めたのは昼ごろのはずだが……それよりずっと今の時間まで眠っていたということなのだ。
 腹も減っている……。

 食堂で宿が用意しているらしい朝食にはありつかないことにする。
 時間が惜しい、最低限でしのごう、と考えた。
 荷物からパンを取り出して口にすると、僕は昨日達成出来なかったスケジュールを再検討した。
 少しでも早く進みたいところなのに思わぬ失態を犯してしまった……今度は慎重に進めよう。
 だが、おかげで勇者の泉の辺りには毒を持つ者が現れるのも思い出すことが出来た。
 チェックアウトをすませ、早朝より営業している道具屋にて毒消し草と薬草をいくつか買いこんでみる。

「さて、と……」
 僕は気合を入れると泉へ向かって歩き出した。

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□モドル□


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