「私も貴方達の旅に同行させてくださいませ」
 王女の言葉にぼくとリークはぽかん、としてしまう。
「い、いや、でも危険な旅だし君は色々体力とか消耗してるだろうし、その」
 ぼくが動揺してどもりながら言うと、横からリークが

「無理です」
 きっぱりと言い放った。
「デアス殿に道連れとなってもらって、ローレシアへ向かってください。サマルトリアでもいい。どちらか貴女の望む国の方へ、明日の朝一番に鳩を飛ばして貴女を保護するように連絡しておきます」

「嫌です」
 今度は王女がきっぱりと言い放つ。
 二人の間に火花が散るのが見えるようだった。
 こ、この二人ひょっとして似た者同志なんじゃ……。

 そんなことを考えながら息を呑んで見守る。
「私の父、そして家族同然である国民、家……何もかもを奪ったハーゴンを許しておくわけにはいきません。この手で成敗しなければ皆浮かばれないし、私自身をも許すことが出来ないのです」
 きつい口調で言う王女の言葉に、リークは更に重ねる。
「貴女を私達の旅に同行させてもしまた敵に狙われることがあれば、私達がこの地へ来て行ったことがすべて無駄になるのです。……貴女の為に泣いたデアス殿のそれも、私とカイ……アシュカイナ王子がラーの鏡を見つけ出したそれも、すべてが。私達は敵の本拠地を目指しているのですよ。危険が付きまとうに決まっている。貴女はそれらを理解してそのようなことをおっしゃっているのですか?」

 怒り気味にリークがそう言うと王女は明らかに怯んだ。
「それは、……貴方のおっしゃる通りです、……おっしゃる通りなのですが……」
 そのまま意気消沈してうなだれてしまう。
 ぼくはちょっとだけ気の毒に思いつつも、でもリークの方がたぶん正論なんだろうと口出しはしないことにして、見守っていた。
 確かに彼のいう通りだ。
 もしまた王女が敵に捕まって連れ去られたり、よもや殺されたりでもしたら……ぼくらのあの、くっさい沼に入って頑張った苦労とかが全部水の泡になっちゃう。
「ごめんなさい王女、リークの言い方は少しきついとは思うけど……ぼくもリークに同意です。ぼく達は貴女をお守りするためにこの街にやってきて滞在して、そして貴女を助け出したんです。……お願いです、サマルトリアかローレシアに行ってください」
「……」

 ぼくにも言われたことが後押しになったのか。
 王女は不服そうな顔をしながらも、ゆっくりと頷いた。
「一つだけお願いがあるのですが……」
 そう、乞うように言ってくる彼女にぼくとリークは頷く。
 すると王女は言った。
「……必ず、ムーンブルクの仇を取ってください……。お願いいたします……」
「もちろんです」

 力強くリークが首を縦に振る。
 ぼくも合わせて頷いた。
 当たり前だ、王女に言われるまでもないことだけど。
 それを自分の目で直接確かめられない彼女には、ただ待つだけの日々が辛いだろうのはわかってる。
 だから、彼女の願いが改めて重くぼく達に響いた。

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□モドル□


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