マリアがさらに畳み掛けるように言った。
「私の力は十分貴方達の戦力になるはずです。……自分の身は自分で護ります。いえ。私は貴方達を護りたい。だから、連れて行け、とは言いません。貴方達に付き添います。これは私が勝手にすることですから断られても仕方がありませんよ。貴方達を勝手に後ろで庇護させていただきますので」
「は……」
 何と反論したらいいのか。
 確かに、ぼくらではありえないあの魔物を倒したのは彼女で、……ぐうの音も出ないってのはこのことかな、と思った。
 体力、腕力ではぼくらの方が確かに勝ってるけど「戦力」では明らかに彼女の方が上なんだ。

 リークは視線を彷徨わせてすこぶる困り果ててから。
「……わかり、ました」
 ため息を洩らして肩を竦めた。
「貴女の魔法の力は……確かなようです。正直なところ貴女の魔法があればこれから先心強い」
 するとマリアは嬉しそうに微笑んだ。
「わかっていただけたみたいですわね」
「ただし!」
 リークがいきなり語調を強める。
 マリアが目を丸くした。

「ただし。僕の言う事を聞いてもらいます。絶対に勝手な行動はなさらないでください。僕達は……貴女を力の限りお護りいたします。だから僕らから絶対に離れたりしないこと。いいですね」
「……はい」
 リークの強い口調にマリアは少しだけ驚いていたけれど、すぐに笑顔になった。
「わかりました。貴方の言うとおりにします」

 それからデアスさんに振り向く。
「ごめんなさい、デアス。貴方のご家族に事情を話すと約束していたのに」
「いえ、いいえ」
 デアスさんは慌てて首を振った。
「本当なら私も貴方がたをお護りするためにご一緒しなければならないのですが、……今の戦いを見ていても私では足手まといになります。ご無事を祈ることしか出来ない……申し訳ありません」
「ありがとうデアス」
 デアスさんの言葉に、マリアが微笑んだ。

 ぼくはと言えば、彼らのやりとりを街の人達と一緒に間抜けな顔で眺めていた。
 何やら丸く収まったみたいだけど……正直なところやっぱりマリアが来てくれるのは嬉しい。
 この旅に華が備わったようにも思える。
 それに、やっぱり人数が多いほうが楽しいよきっと。
 そんなことを考えながらも、マリアが投げ出した荷物の存在を思い出して拾う。
 旅用の肩掛けの、荷物入れに使われる丈夫な袋だ。

 マリアが
「あっ。ありがとうカイン」
とそれを受け取ると、中からひのきの棒を取り出して腰に挿した。
「一応武器も装備しなくてはね」
「……」
 ぼくは、マリアが初めからついてくるつもりだったらしいのを、何となく感じ取ったのだった。





「船を手に入れなくてはいけないと思うの」
 宿で夕食を口にしながら言った王女の言葉に、僕とカインはうーんと考え込んだ。
「ハーゴンはロンダルキアの台地に居ると言われているわ。そこへ行くにはどうしたって徒歩では無理」
「だよねー……でも船っていってもさあ……」
 カインがスプーンを咥えながら天井を仰ぐ。
 そう、旅の最初から自分達のそれぞれの王家に頼んで船で出発すれば早かったものを、そうしなかったのはなぜか、という話だ。

次へ



□モドル□


Presented by 小説X ver1.1,