「駆除完了〜……」
 結構ダメージを負ったぼくはその場にへなへなとへたり込んでしまう。
 リークが汗を拭ってぼくに顔を向けた。
「……お疲れ」
 労いの言葉にぼくは笑顔で頷く。

「まともに魔物を倒せたの、はじめてだ」
「お前が倒したのは3匹だけどな」

 軽く嫌味をいう彼にぼくはわざと頬を膨らませて見せる。
「いっぺんに3匹も倒したなんてぼくにとって快挙だよ」
「わかってる、……お疲れ」

 そういうとリークはぼくに手を差し出してきた。
 手を取り立ち上がる。
 手に力を込めた瞬間、リークが顔を曇らせた気がしたけれどすぐに彼の顔色が戻ったのでぼくは気に留めなかった。

「……それにしても。いくらなんでも群れすぎだったね、今のバブルスライム」
「……ああ」

 ちょっと思い出しながら指折り数えてみる。
「……10匹くらいいなかった?」
「ああ。正確には11匹。僕が8匹倒したからな」
「……居すぎ」

 多すぎる、ぼくが城でならった魔物学ではせいぜい群れても3〜4匹って話だった。
「久々に人間が現れたから集まってきた?」
 ぼくの疑問に
「それとも僕らの力試しをしようとした何者かが操って集めたか」

 操る。
 リークの言葉がぼくの脳裏に引っ掛かる。
 魔物を操る力……。

「何者か、ね。心当たりがあんまりないんだけど……なんだか嫌な感じだね、旅の初っ端から」
「まあな、……とりあえず洞窟を出よう。いつまでもこのじめじめした場所にいるのはごめんだ」

 ぼくらは頷きあって帰路に着く。
 途中、キングコブラなりゆうれいなりの魔物が現れたけれど、1〜2匹ずつだったのでそれらはあっという間に片付いた。
 ……それにしてもリークの戦闘のセンスというか……はっきりいってすごい、どうやって訓練してきたんだろう。

 バブルスライムの時も正直言えば、彼がぼくを庇いながら戦ってくれたから3匹も倒せたんだと思う。
 ぼく一人でリークのサポート無しに戦えと言われていたら、1匹でも上手く倒せたかわからない。

 つまり実質あの11匹すべてを彼一人で倒したようなものなのだ。
 ぼくは魔物の落とした金品を拾いながらそんなことを思い起こして感心していた。
「……そういえば」

 ふと、呟く。
「さっきからとりあえず拾った人がこの金品持ってたけど……どちらか一人に財布は統一した方がいいと思うんだ。ぼくらは一蓮托生だし、財布の中身の管理をしっかりしてないと困ることがあるかも知れない」
 ぼくの提案にリークも頷いて同意する。
「そうだな」
「でさ、管理は君に任せた」

 今拾ったものを差し出しながらそういうとリークは目をしばたかせてぼくと金品を見比べた。
「いいのか? 僕で」
「ご存じのとおりぼく、ちょっとお金の管理いい加減だから」
 苦笑してみせると、小さく笑って彼は素直にそれを受け取る。
「……ま、僕が預かるというだけで二人の金だからな。何かあれば言ってくれ」
「OK」

 そんなこんなで。出口へと足を進める。
 外に出るともう夕方で、洞窟の中だから感覚がなかったけれど……結構長居したんだな、なんて実感させられた。
「どうする?」
「リリザに戻るには少し遠いな……」

 リークは考え込む仕草をしてから。
「……ローラの門に向かおう」
 と言い出した。
「え……今からムーンブルク大陸に行くの?」
 驚いて尋ねる。
 するとリークは首を横に振った。

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□モドル□


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