何も言えなくなってしまった。
 恋愛だという思いを必死に消そうとしてるんだろうというのだけはわかった。
 マリアはその、誰だかわからない相手をすごく愛していて。
 だからリークに惹かれるわけには行かないと思い込んでいて。
 そうしたらぼくとリークがこんなことになっていた、だからそれならそれで行ってもらおう、なんて考えたんだろうか。

「……ぼくにとって、マリア……君も大切な人だ」
 小さく、言う。
「リークがどちらを選ぶかわからない。だけど……彼の立場ならどちらも取ることも可能なんだよ、王族の権力っていうのは。それにロト三国で一番力を持ってるローレシアの王子なんだ。……彼がもしその選択を取ったとしたら、君は心を殺す必要はないんじゃないかな」
「殺してなんて……いません。私は思っていることを素直に言っただけ。……ごめんなさいカイン、今日はもう寝ますから……おやすみなさい」

 マリアはぼくを振り払うと、自分の部屋へと駆け込んでいった。
 ぼくはどうしたらいいのかわからないまま、自分の部屋に戻るとリークを寝かせていない方のベッドに潜り込んだ。

 明日はリークの試合だ。
 頑張れ、と小さく声をかけてぼくは眠りについた。

END



□モドル□


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