フレディオスは満足そうに頷くと、僕の頭の後ろに手を添えてきた。
 もう片方の手は僕の両手首を束ねて抑え込んでいる、身動きが取れない。
 せめてもの抵抗で思い切り睨みつけてやるが効果があるはずもなかった。

「じたばた足掻いてるのを取りこむのも狩りの楽しさの一つだよ。蝶を捕らえた蜘蛛の気持ちがわかるな」
 いいながら、僕の頭を引き寄せて再び唇を重ねてきた。
 脂汗が浮かぶ。
 僕はその唇を払おうと必死に首を横に振る。
「離せ!」

 一旦口付けを諦め、だが彼は僕の言葉は意に介さずゆっくりと僕の身体を倒し、ベッドに押し付けた。
 両手を振りほどこうと力を入れるが彼の手は解けそうにない。
「良い筋肉だ。まったく無駄がない」
 掴んでいない方の手で、服の上から腹筋に触れてくる。
 ぞわぞわと気味の悪い感覚が背中を抜けた。

「それにしてもこのままだと具合が悪いな」
 そういうとフレディオスは僕が身に着けていたベルトを奪い、両手首を縛りあげて頭上に縫い止めた。
 いよいよもって身動きが出来なくなり、冷や汗と脂汗が同時に浮かんでくる。
 どうやって逃れようか、そのことに思考を費やしていると。

 アンダーウェアの下から、手が直に肌に触れるのを感じた。
「な、やめろ、触るな!」
 その手は腹を撫でまわし、腰や脇腹を擽るように撫でて行く。
 奴の触れる先、触れる先がぞくぞくと気色の悪い感覚に覆われて行く。
 声が、出ない。
 あまりのことに声が出せなくなっていた。

 フレディオスは目元に口づけると、いつの間にか涙ぐんでしまった僕の目尻を舐め、涙を舌で拭い取る。
「自分が強いと過信して傲慢になっている者をこうやって虐げるのが快感なんだよ……自分は強いはずなのに抵抗出来ずに喰われていくだけ、その恐怖を味わう様を見るのが俺の趣味でね」
 過信。傲慢。
 確かに、ちょっとやそっとでは負けないという過信はあったかも知れない。
 けれど、この男がやっているのはそれとは別次元なのでは? と頭の隅で考える。
 しかし執拗に身体を撫でまわす手に気を殺がれて思考が続かない。

「口では嫌だと言っているが……本当は嫌じゃないんじゃないのか? だってほら、こんなにここは喜んでいる」
 胸で硬くなっている突起を彼が指先で押す。
 これまで誰にも触れられたことのない場所を他人に触られ、僕の身体はびくりと跳ね上がった。
「や、め、……ろ、嫌だ、……」
 どうにか声を絞り出すとフレディオスは僕の反応に気を良くしたらしく、服を捲って今触れた部分を舌でねっとりと嘗め回した。
 びりびりと身体が痺れ、頭の奥がじんじんとする。
 気持ち悪さと感じたことのない感覚とか入り混じって、どうしたらいいかわからない。
「こんな、……、」
 息切れしてそれでも声を出すと、奴は片手を下の方へ伸ばした。
 
 まさか、と第六感が感じ取り身体を捩って逃げようとしたが押さえ込まれていて上手く動けない。
 何とか下から逃れようと身体をずらした瞬間に。
 ズボンの上から股間を握られた、強めに。

 なんだこいつ、なんでこんなところ、……嫌だ嫌だ嫌だ、何だこの感覚、嫌だ!!
「やめろ、馬鹿野郎!!」
 やっと声が出せた僕は、思い切り叫んだ。
 まだカインにも触らせていないのに、なんでこんな、こんな奴に……!
 思い切り、出来る限りの力を込めるが現時点では相手のほうが力が強かった。
 フレディオスが今握っていた場所をもう一度軽く握ると、身体が勝手にびくりと跳ねる。
「一国の王子のくせに口が汚いな」
 にやりと笑うと今度はゆっくりとした動きで指先を滑らせ始めた。

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□モドル□


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